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まちおこしレポート
新十津川町

田舎暮らしの新しいカタチを、スープカレーを通じてつくる。20170417

田舎暮らしの新しいカタチを、スープカレーを通じてつくる。

北海道に180番目の市町村が誕生していた!?

北海道の札幌市と旭川の中間くらいに位置し、約6,700人ほどの人々が暮らす、新十津川町。米農家さんを中心とした農風景がひろがるこの町のなかに、北海道180番目(!?)にあたる村があるのをご存じでしょうか?その名も「romantic village nijinos(浪漫村 虹の巣)」。残念ながら、180番目の市町村として、地図で区切られることはありませんが、新十津川町で暮らし、地域貢献につながる活動を地道に続けているらしいと聞き、取材にうかがいました。

お話を聞かせてくださったのは、佐藤 港さん。スープカレー奥芝商店で全国的に名が知られている株式会社NEXT LEVELの社員。肩書きは「村長」。東京出身、東京育ちの佐藤さんやご家族については別記事で紹介しておりますが、本当に興味深いお話を語って下さいました。

人生観が変わった転機と、多くの出会い

nijinos 1.jpg作業スタイルの佐藤 港さん

東日本大震災を期に、大きく人生観がかわり、それまでやっていた鉄筋工の職人を辞め、自転車で日本縦断をするなど、「旅人」になっていた20代前半。当時、アーティストやミュージシャンの間でウワサになっていた「浪漫村 虹の巣」のことを聞きつけます。「スープカレーの奥芝商店っていうところが、田舎に集まって、みんなでまず店をつくるところから始めてるらしい」と。2012年の冬、佐藤さんはアクションを起こし、新十津川に初めてやってきます。今では北海道を軸に、全国的に知名度も高まっているスープカレーですが、当時の東京ではあまり知られていない時代の出来事でした。

憧れるようになった土のある暮らし

nijinos 2.jpg春になり雪解けが始まった敷地。土が顔を出し、これから緑が深まっていきます。

「北海道と決めていたわけじゃなかったけど、土を感じられる暮らしをしたいと思うようになって、東京じゃないどこか...を探してたんです」そう語る佐藤さんは新十津川に移住を決めます。その決め手としては、「初代の村長がすごい人で、デザイナーなんですけど、テーブルから内装から、もう何でも自分でつくっちゃう。そしてやっぱり外せないのが、ウチの代表である、奥芝洋介社長の存在。この浪漫村もスープカレーの店を中心にして、いろんな人が集える場所にしようぜ!『村』をつくろうぜ!っていう想いなんかも共感できたし、集まってくるみんなもなんかスゴイ人たち。畑もやって、住めるところもつくって、動物も飼って...と自分が思い描いていた暮らしがここにあるって。」

スープカレー店を軸に広がる世界と活動

nijinos18.jpg冬のアクティビティのひとつとして「雪板」を開発・製作し、活動している「農BORDER」

佐藤さんが語ってくださるように、浪漫村 虹の巣は、スープカレー奥芝商店を核に、ゲストハウス・シェアハウス、スタッフ用住居といった建物が連なり、また、馬やヤギ、鶏やヒヨコたち、猫などの動物と触れあえる環境も構築。またその施設群の奥には畑が広がり、トマトやズッキーニ、とうもろこしなどを有機栽培しています。また、「農BORDER」というブランドも展開していて、気軽に乗れる足を固定しないスノーボード...つまり「雪板」の製作や楽しみ方の発信も活動としているそうです。それでもまだまだ現在進行形の状態。もっともっと多くの活動や取り組みを取り入れて行きたいと考えているとのことです。

誰とでも、どんなことでもを、受け入れること。マチと共に生きること。

nijinos 3.jpg手作りの温かみを感じられるスープカレー奥芝商店 新十津川店の店内

「新十津川は過疎化や高齢化が進んでいる小さな町。さらにこの店があるのも『総進地区』っていうさらに小さな集落。そして、そのなかにあるさらに小さな村として、何ができるか、何が町のために役立つかっていうのをずっと考えているんです。スープカレーに入れる具材も町のものを取り入れたメニューを開発しているのは、少しでも町に貢献できればと考えてのこと。ここの店舗でしか食べられない地元の酒蔵である金滴酒造さんとコラボした金の海老スープや、地元の食材もふんだんにつかった各種メニューもつくっています。また、新十津川の陶芸 屯田窯さんの器を使うなどもしています。ただ、奥芝商店としてのブランド維持も大切にしていて、全国どこの店舗で食べても変わらない味というのも守っていますから、『どこででも』と『ここでしか』を共存させた店づくりをしています。他にもライブイベントをやったり、障害をお持ちの方も気軽に来られて活動できる場にしたりと、いろんなこともやっています。」お店が発展していくことで、お店に関わる町の人々も恩恵が得られるというお互いにとってメリットのある関係づくりができていることがわかります。

体験型コンテンツが地方都市を活性化させる

nijinos 4.jpg手作りの木のブランコ。他もほとんどが手作りです。

佐藤さんはお話を続けます。「ここ最近では、海外からの旅行者の受け入れなども増えてきていて、利用者が増えれば当然、町に経済効果も生まれてくるはず。そこは旅行のコンテンツのひとつとして浪漫村を活用してもらえればとも考えています。一方で、自分がそうであったように、自転車やバイクで旅をする人たちは宿泊にお金をかけられないのもわかってます。だから、村で発生する農作業といった仕事をしてもらうかわりに、シェアハウスに泊めてあげたり、ごはんを提供したりといったこともしています。そんな体験型のコンテンツをもっと提供していければ、結果的に新十津川という町を知ってもらい、ここで知り合った仲間がまた増えていく...交流が増えれば何かが産まれていくって考えているんです。」

これまでの常識が、常識じゃなかったと感じられる生活

nijinos 12.jpg動物と暮らしたいという夢も叶えられる環境です。

nijinos20.jpg動物から教えてもらえることもたくさんあるそうです。

取材陣が最初に佐藤さんにお会いしたとき、ドレッドヘアでサングラスをしてラッパー風の服装で片手にトンカチで登場...。こちらが勝手に想像した印象とは裏腹に、誠実でまっすぐ、家族想いで、地域のことや働くスタッフのことを本気で考えていることがお話していると深まっていきます。だからといって、自分の考えを人に押しつけるような雰囲気もありません。「町外から来た若者がたくさんいたり、外国人がいたり、バックパッカーがふらっときてたり、アーティストやミュージシャン風貌の人々がこの村に来てワイワイやってるのを、地元の人たちからすると、『何をやっているんだ』と最初は怪しい集団に見えてしまってたかもしれないですね。でも一生懸命やり続けて来て、自分たちの活動を知ってもらってきて、だんだんと周りの方々からも理解してもらえるようになってきていると感じています。まだまだこれからな部分もありますけど、この村のスタイルをさらに地元の方々にわかってもらえるようになったら嬉しいですね。そして、この村の名前にある『虹』。虹の色のように、多様性のある人々を分け隔てなく交流したり働いたりできる生活の場にしていきたいと思って名付けています。国籍でも性別でも学歴でもない、障害を持った人も楽しんでいける、自分がそうであったように価値観も生きていくウチに変わっていくっていうことを、自分も周りも受け止められる場所...そんな『村』という名のエコビレッジ、そんなコミュニティを目指しています。」

自分が目指したいことを、働きながら、暮らしながら目指せる環境

nijinos 6.jpg仕事モードに切り替わった佐藤さん

現在、奥芝商店 新十津川店ではスタッフとして参加してくれる「村民」を募集しているそうです。そこについてもうかがいました。「株式会社NEXT LEVELというしっかりとした企業体でありながら、一方でここでの働き方は、自分流を大切にしていける環境です。昔あこがれた夢のラップスター!!みたいなところも自分は大切に持ってて、自然に囲まれて、一生懸命スープカレーつくって、地元の人と交流しながら曲づくりもしてます。半農半X...っていうんでしたっけ?半分は畑を汗をかきながら耕しつつお店や村を一生懸命運営して、残りの半分は自分のやりたいことも突き詰める。そんな働き方と暮らし方ができる場所。そして、さっきも紹介した通り、『虹の巣』なので、いろんな考えを持った人間が参加していいところだと思ってます。特に、価値観が変わってしまって、何を信じたら良いのかを悩む若い人とか、自然の環境で生活したい人とか、いろんな人との関わりを大切にしたい人とか、なんか都市生活では得られないものを得たい人とかに向いているんじゃないかな。前の村長が自分のデザイナーとしての夢を追ったように、ここが通過点だっていいと思いますし。まずは、シェアハウスもあるから、とりあえず住み込みで働いてみて考えるっていうのでもいいので、まずはこの村に遊びに来て欲しいですね。」

nijinos 7.jpgわたしもここの村民にゃー。いろんな人が来てくれるのを待ってるにゃー。

スープカレー奥芝商店、そして浪漫村 虹の巣。その取り組みは、人間としての喜びや楽しさを感じられる場所をつくること、古くから町に住まわれる方とこれからの若者や移住者をつなぐ、地域貢献につながる活動。今日もドレッドヘアの佐藤さんは、産まれたばかりの子どもをあやしながら、これからの観光シーズンに向けて店舗の修繕にトンカチを振るいます。

※半農半X...京都府綾部市在住の塩見直紀さんが提唱している働き方や生き方の概念。半農半士になぞらえて、半分は農業を担い、半分は自分のやりたいことをやる生き方。

スープカレー 奥芝商店 新十津川店 romantic village  nijinos(浪漫村 虹の巣)
スープカレー 奥芝商店 新十津川店 romantic village nijinos(浪漫村 虹の巣)
住所

北海道樺戸郡新十津川町字総進217-21

電話

0125-76-3222

URL

http://www.okusyo.com

奥芝商店 新十津川店 Facebook https://www.facebook.com/okushibasyoten/
農BORDER Facebook https://www.facebook.com/noborder.by.nijinos


田舎暮らしの新しいカタチを、スープカレーを通じてつくる。

この記事は2017年4月5日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。