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せたな町

自然なものを自然のまま育てる。養豚場経営のご家族。20161005

自然なものを自然のまま育てる。養豚場経営のご家族。

スノーボードの技を磨くため、夏は働き、冬は山へ向かう日々

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小樽市生まれの福永さんは、海が好きだったことから高校卒業後は地元の小樽市にある潜水調査を行う会社に就職。北海道各地の海に潜り、生物調査の手伝いをしていましたが、17歳で始めた趣味のスノーボードに打ち込みたいという気持ちが強くなり、2年勤めた同社を退社することに。

退職後、夏は本州にある電機メーカーなどの工場で派遣社員として働き、冬は国内外のスキー場でスノーボードの技を磨く日々を数年間過ごします。「仕事はきつかったけど、毎年工場で働く期間はいつも半年間。残りの半年間は好きなスノーボードができるという思いが原動力となって頑張ることができました。一生懸命働いていたから、会社からの評判は良かったんですよ」と笑います。

知らないからできない、ではなく、誰でもできると思うことが大切

img2.JPG農業の道へ導いた曽我井陽充さん(写真左)

そんな福永さんは33歳の時にかつてのスノーボード仲間である曽我井さんが今金町で営む農園へ、ふらりと遊びに行ったことがきっかけで農業への道へと進むことになったのです。
曽我井さんは、自然に寄り添う生産を心がけ、安心安全な食を目指すせたな町・今金町の農家・酪農家グループ「やまの会」のメンバーのひとりです。「当会の基本姿勢は、食や農について、僕らの考えを広く伝えていくこと。地元、さらには他地域へ出向き、販売会や講演会などを行っています」と曽我井さん。

福永さんは曽我井さんのところにお世話になりながら、曽我井さんが経営する農園の仕事を手伝ったり、他の農園でアルバイトをするなど農業に関わる日々を過ごすようになりました。「生まれて初めて経験する農業でしたが、不思議と違和感がなく、僕には無理な仕事だという感覚はなかった。知らないからできない、と思い込むのではなく、誰でもできるという気持ちで向き合うことが大切なのではないでしょうか」。

その後、せたな町にある農業生産法人に就職した福永さんは、そこで3年間働く中で「これからは自分で何かをやりたい」という気持ちが芽生え始めます。そんな時、「やまの会」のメンバーで養豚業の「ファームブレッスドウィンド」を営む上泉さんから「ここをやらないか?」と声をかけられたそうです。

養豚業を引き継ぎ、せたな町の食や農を内外へ発信していく

setana1.JPG飼料となるトウモロコシは、日光の当たる建物に保存

 海外へ移住することを決めた上泉さんから引き継ぎの話を受けた福永さんは、「当時は畑作をやりたいと考えていたため、返事に悩みました。ましてや、生き物相手となるとできるのだろうか」と、その時の心境を振り返ります。
 しかし、自分の目で上泉さんの仕事を見た時、必要以上の無理をしないというやり方に共感。そして2013年春、「ファームブレッスドウィンド」の経営を引き継ぐとともに、「やまの会」の一員にもなりました。「普通の養豚場は、豚舎の中の菌を殺そうと手間暇をかけます。しかしウチはその真逆で、自然のままにいこうというスタンスなんです」。太陽の光を受けながら、自然放牧でストレスなく育てられるバークシャー種の黒豚は、旨味がしっかりとしていながら軽やかな味わいが高い評価を受けています。
 そんな福永さんを見てきた曽我井さんは、「拡史は器用なタイプではありませんが、とても実直な人柄でマイペースな人。だからこそ、この養豚場のスタンスに合っているのかなと思います。あまりビジネスライクに考えず、空間や豚と共存していこう、という思いを持って仕事と向き合っているんですよ」と話します。
 そして今、福永さんはここへ見学に来た人や、お世話になっているレストラン関係者などが宿泊できる建物を作ろうと計画しているとのこと。気軽に人が集まれる場所を提供し、町の産業を多くの人にアピールしていきます。

田舎らしい風景に魅力を感じ、「自然とともに生きる」

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奥様の真紀さんは、スノーボードがきっかけで福永さんと知り合いました。結婚する前に移住の話を聞いた真紀さんは、ここがどんな町なのか知らなかったため、一度こちらへ見に来たそうです。「私は田舎というところに住んだことがなかったので、ここは未知の世界。その不安から、泣きながら帰りました」と振り返ります。

しかし、知らない土地でも住めば都。作られたものではなく、元々からある姿を残す田舎らしい風景に、この町の魅力を感じていると話す真紀さん。そして、以前から知人であった曽我井さんをはじめ、「やまの会」には同い年くらいの人たちがいたことが心強く感じられ、不安は徐々に消えていきました。ただ、生き物相手の仕事であることから、親子3人一緒にお出かけできないことが悩みなのだとか。

また福永さんも、自然が多く、子どもを伸びのびと育てられる環境は良いと感じながらも、「社会に出ると、たくさんの人と関わることになります。田舎暮らしでは、たくさんの子どもたちと接する機会が少ないので、娘にはそういった点では不安もあります。それでも、ビハインドのない環境を考えていくのも僕の役割ですね」と、これから学んでいくことも多いのは確か。「自然とともに生きる」をモットーに掲げる福永さんは、大好きな海や山がある豊かな自然に囲まれながら、同じ志を持つ仲間や家族とともに、これからもこの地で暮らしていきます。

ファーム・ブレッスド・ウィンド
住所

久遠郡せたな町瀬棚区西大里656-13

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自然なものを自然のまま育てる。養豚場経営のご家族。

この記事は2016年8月1日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。