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このまちのあの企業、あの製品
鹿部町

マイナス55度で魚介の鮮度を守る!有限会社嘉楽20170629

マイナス55度で魚介の鮮度を守る!有限会社嘉楽

魚介の冷凍ものは品質が良くない...そんな先入観をくつがえす、画期的な冷凍技術で注目を集めているのが、鹿部という小さなまちにある有限会社嘉楽。獲れたての魚介を真空パックにして、マイナス35度で瞬間的に冷凍する「ブライン凍結」という技術をさらに改良し、マイナス55度まで温度を下げる技術を確立しました。そうすることで鮮度を落とす一番の原因のドリップ(魚の酸化に伴って出る赤い液)が出ず、新鮮そのものの味を楽しめるのです。代表の辻合明男さんに、おいしさのヒミツを尋ねました。

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道南の食材にほれ込み、移住を決意!

鹿部駅からほど近い閑静な住宅街。同社の工場は一見するとフツウの住宅に見えます。中をのぞき込むと、いやはや、工場というよりは厨房。機械らしい機械はほとんどなく、スタッフの皆さんが包丁1本でイカと格闘していました。
「当社は付加価値の高い商品を、少量ずつつくるのがモットー。技量があり、大量生産じゃなければ、製造ラインを設置しなくても十分に生産性と利益が高まるんです」。頭巾スタイルがよく似合う辻合さんがにこやかに語ります。ところで、言葉の端々に関西弁のイントネーションが混ざっているような。

「僕はもともと奈良の出身。イタリア料理店のシェフとしてレストランや本場イタリアに渡って修業を重ね、地元にお店を出しました。だけど、仕入れる前は新鮮な魚と聞いていたのに、いざ見てみるとそうでもない...なんてことが多々あったので、産地からお店までのモノの流れを把握してみたいという気持ちが湧いてきて。そんな時、常連さんから函館の食材は実に魅力的だと聞き、道南に足を運んでいろいろと味わってみたら...あまりのおいしさにハマっちゃった(笑)」

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とはいえ、辻合さんはすぐに移住を決めたワケではなく、浜市場の売買参加権を獲得するために漁港に足しげく通い、新規参入が出来ないかとお願いし倒したと笑います。地元住民の信頼を得て、ようやく権利を手に入れてからは、今度は鮮魚を扱うのか、冷凍ものを届けるか頭を悩ませます。
「鮮魚は新鮮なまま各地に送ろうとするとコストが高くつきますし、海がシケたら収入はゼロ。それなら、冷凍技術を進化させていいものづくりをしようというアイデアに思い至りました」

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下ごしらえや凍結のタイミングも腕の見せどころ!

驚くことにマイナス55度のブライン凍結は辻合さんが開発したのだとか。機械いじりが特別に得意ではないそうですが、既存の冷凍庫の構造を調べ、改良を加えた上で独自の冷凍技術をつくり上げたのです。
「実は魚介の細胞と細胞の間には水分が含まれていて、0度〜マイナス5度で最も膨張します。すると解凍する時に細胞が破壊され品質低下のモトとなるドリップという液が出るんです。マイナス55度のブライン凍結なら0度〜マイナス5度の温度帯を瞬間的に通過して冷却出来るので、鮮度が損なわれることはありません」

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このブライン凍結さえあれば怖いものなし!と思いきや、実は凍結までの下準備や凍結自体のタイミングをはかるのも難易度が高いといいます。
「見ての通りウチは工場というより厨房。魚によって包丁の引き方を変えていますし、さばく工程に適した包丁選びも大切です。イカで言えば、背を割く包丁と耳を落とす包丁はそれぞれ違います」
例えば『刺身用ほっけ』という商品の場合は獲れたてよりも、少し時間をおいて旨味成分がふくらんできたタイミングが食べごろ。そのピークを見極めてブライン凍結する勘も、相当の訓練を積まなければ得られないのです。

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「何でこんなにウマイねん!」がやりがいに。

「実は当社のブライン凍結を使ったイカやタコは15年ほど前に完成していました。けれど、当時はあまり知っていただく機会もなく、車で全国行脚の旅に出たりして...今、ようやく当社の商品が徐々に浸透しつつあります。そんな苦労を重ねたからこそ、お客様から感動を通り越して驚きの声が届いた時のうれしさはひとしお。例えば地元の奈良から"何やコレ!何でこんなにウマイねん!"なんて電話が掛かってくると最高ですね!」

同社のアイテム数はかなり多く、ホッケ一つとっても「焼き用」「刺身」「一夜干し」などバラエティ豊か。最近では築地市場の大手卸企業からも、商品へのラブコールが届いています。鹿部という小さなまちで、北海道産の魚介と自らの技術で全国に名をとどろかせている同社。今後の展開も、実に楽しみです!

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有限会社嘉楽
有限会社嘉楽
住所

北海道茅部郡鹿部町字本別529-651

URL

http://sakanadamart.net/


マイナス55度で魚介の鮮度を守る!有限会社嘉楽

この記事は2015年7月12日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。